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ギドン・クレーメル&クレメラータ・バルティカ

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・・・このところ続けて興味あるアーティストばかり、テレビの放映が続いていて嬉しい。今夜、バルト三国からバイオリニストのクレーメルが団員を集めた若手オーケストラ~クレメラータ・バルティカ~の演奏を久しぶりに聞いた。以前アストル・ピアソラの曲ばかり聞いていた頃、彼らの演奏にハマったことがある。もちろんピアソラ自身が演奏しているCDは、数えたことはないけれど沢山持っていて、とにかく新しいのを見つけたらその頃は迷わず買っていた。当時多くの演奏家がピアソラの曲を試みていて、CMではヨーヨー・マがリベルタンゴを演っていたが、ギドン・クレーメル率いるクレメラータ・バルティカの演奏が圧倒的に好きでよく聞いていた。何故ならそれはピアソラの、というより自らの本能にとても忠実な演奏だったからだ。彼らの生の演奏を聞きたくて、愛知県芸術劇場に足を運んだ。やはり生の音は凄かった!先ずギドン・クレーメルが音楽に没入していくと、一瞬自らを見失ったのかと感じるくらい、火傷しそうな程とんでもなく熱い演奏になるから、回りの
オーケストラ団員も必然的にそっちに引っ張られて、もう血ワキ肉オドル音楽になるのだ。クレーメルの演奏は、その楽器がヴァイオリンであることを時に全く忘れさせる。一瞬ワケのわからない雑音。高音部で無垢な哀しい音を出させたら、この人の右に出る者はいない。物凄いテクニックを持ちながら、一方で自分を見失う程の熱い感情を、音楽で冷静に表現出来るヒトは稀だ。ジャンルは問いたくはないが、特にクラシックの世界では・・・。今夜はマーラーもショスタコビッチのソナタもよかったが、映画音楽のようなニュアンス、途中で団員がため息を漏らしたりする、もの哀しく大袈裟で滑稽、同時に繊細な音楽だったカンチェリの「リトル・ダネリアーダ」が秀逸だった。その後、ピアソラの「ブエノスアイレスの四季」はいつ聞いてもおてのものって感じ。途中何箇所か、ヴィバルディの四季が一瞬挟み込まれた編曲だった。それはとてもユーモラスで面白いけれど、私的な好みで言えば、もっと少なく一カ所か二カ所でよかった。ピアソラの音楽は苦悩や憔悴、怒り、後悔・・・
そういったビターでネガティブな感情が、とてつもなく劇的でロマンティックでスィートな美しい音に昇華されている。それはピアソラが歩んだ厳しい人生の道程を彼自身の大きな愛で包んだような・・・、ホントに大好きな作曲家だ。・・・今夜は最後にアンコールで演奏されたピアソラの「フーガ・イ・ミステリオ」のマリンバ演奏がまたすばらしかった。そしてオーケストラ団員全員が、緊張と一瞬リラックスのあいだを愉しんでいる様子・・・。師匠のクレーメルが次の音でナニをやらかすのか、みんなが息を凝らして見守る一瞬とか全て愛おしかった。また彼らの生の演奏を聞きたくなった~Arico♪
by aricohibinoawa | 2007-08-04 02:45


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