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東京三昧・二つの講演会。

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聞きたい講演会が二日続いたので上京してきました。3・11以来、JR東京駅の昼間の印象はかなり暗い。でも、その節電のほの暗さのなかに東京の新しい優しさを感じた。今まで東京は明る過ぎた。暗くなった構内をすこし散歩するとわかるけれど、そのうすあかりがだんだん心地よくなってきた。陰影礼賛。大人の恋がふたたび育まれそうな雰囲気がそこに漂っている。





東京駅から電車に乗った。以前より明らかにクーラーは効いていない。でもそれは身体に優しい温度だ。ただ、関東に暮らすヒトは中部や関西とはちがう我慢をしている。駅のエスカレーターやエレベータも多くは止められている。今後、何を選択していくのか。そんなコトが浮かんでくる。






5/20、東京千駄ヶ谷GAギャラリーで開催された、建築家横河健さんのギャラリートークを聞いた。去年2月、名古屋建築士会主催横河さんの講演会を聞いてとても感動したので、また参加させていただいた。





今回とても印象に残ったお話しは、横河さんが5歳の頃、お兄さんの『いいものを見せてあげるよ』という言葉に惹かれ、お兄さんの自転車の後を必死に走って追いかけた先にあった、お兄さんお気に入りの建物に心を奪われたコトだった。





小さな子供時代、心を奪われたカタチ。その感動をひろげて長年お仕事に反映して来られた幸福。GAギャラリーに集った満員の横河さんファンは、その幸福に照らされながら、それぞれの思索に入ったように会場は静まり返っていた。





心を奪われたカタチとは、吉村順三という著名な建築家が50年以上前建てた、簡素で静謐。なんとも優雅なたたずまいの民家だった。それは今、横河さんが創られる住宅、さかのぼっておじいさまの横河民輔さんが建てられた日比谷三信ビル内ピータースレストランのディテールにつながり、思わずため息がこぼれた。





5/21、九段にあるイタリア文化会館で、ワタリウム美術館主催『子供教育研究会』の第一回「子どもの創造性−アートとしての言葉が生まれるとき」で谷川俊太郎さん×佐藤学さんの講演会を聞きに行った。私は10代〜20代前半、谷川俊太郎さんのファンだった。それからしばらく遠ざかっていたが、今春、京都工芸繊維大で開かれた『ラヂオの時間』で谷川俊太郎さんが長年集めて来られ、京都工芸繊維大に寄贈された、飛び切りうるわしいカタチをした沢山のアンティークラジオを見た途端、再びファン熱が復活した。






こんなに美しいモノを長年集めたという事実。それは無駄なコトかも知れない。ただひたすら、自分が美しいと感じる対象をひたすら捜し続けてその最も大切な対象『ラヂオ』を寄贈するという行為に私はとても心動かされた。そして『ラヂオ』たちはみんな今も燦然と輝いて、それぞれ「ねェ〜アタシって美しいでしょ」今も囁き続けていた。






谷川俊太郎さんと佐藤学さんの講演会は楽しかった。圧巻は谷川さんが自作の童話『もこもこもこ』と『んぐま〜ま』を読んだ時。谷川さんは年齢を超越した凄いパフォーマーだった。広い会場が一瞬で陽気に包まれ笑いが渦巻いて熱気を帯びた瞬間、気の交流が大きくおこったせいか気分がふわ〜っと軽くなった。





二つの講演会で感じたこと。それは長年、自分の感覚に正直に、感動をずっと内包しながら自分の世界を真っ直ぐ築いてきたヒトの紡ぐ言葉は重厚で、同時に軽やかなリズムを放って、色彩感溢れた極上の音楽だった。写真はGAギャラリーでユマが写してくれた。ユマと一緒にいると、映画『千年旅人』の時間にいつも遡ってしまう〜Arico♪
by aricohibinoawa | 2011-05-31 01:00


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